大判例

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東京高等裁判所 平成2年(う)34号 判決

所論は,被告人は,運輸省地方陸運局長の認証を受けて自動車分解整備事業を経営しているものであって,本件で1年以上の懲役刑に処せられた場合には,道路運送車両法93条,80条1項4号イの規定により,地方運輸局長から,3月以内の期間の事業の停止若しくは認証の取消という厳しい行政処分を受ける可能性があり,被告人が原審の公判審理中に前橋陸運支局の立入検査を受けていることに徴すると,この行政処分を受ける可能性は極めて高いものというべきところ,原裁判所は,この点に気付かなかったことから,行政処分の可能性につき何ら配慮することなく,被告人に対して,執行猶予付きとはいえ検察官の求刑意見と同じ懲役1年の判決を言い渡したものであって,原判決はこの刑期の点において不当である,というのである。しかし,原裁判所が所論指摘の法規の存在を看過し,量刑に際し,被告人に対する行政処分の可能性の有無を考慮しなかったとする所論は,憶測に基づくものでにわかに肯認し難い上,そもそも,1年以上の懲役刑に処せられた者に対し地方陸運局長が事業の停止又は認証の取消の処分をするかどうかの決定は,専らその裁量と判断に委ねられているのであって,裁判所が量刑に当たり,あらかじめ行政処分の有無,内容を予測し,処分を回避できるよう配慮しなければならないというものではない。そして,本件事案における前叙の犯情に徴し,刑期を1年未満にとどめなければ量刑過重に帰するとは直ちにいい難いところであって,本件に関する行政処分の要否やその内容について,行政当局に検討,判断の機会を付与する結果を招来したに過ぎない原判決の量刑をもって不当ということはできないから,この所論は採用できない。

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